「波佐見焼」の産地として、日本全国に知られている長崎県東彼杵郡波佐見町。
町と波佐見焼の魅力、波佐見町の未来についてお伝えしてきた。最終回では、実際に波佐見町に訪れると体験できる様々なアクティビティについて、モニター参加者の感想を交えながら、ご紹介したい。
【波佐見③】生きがいを感じながら交流を楽しめる町へ
※本記事は西海陶器株式会社のご協力のもとスポンサー記事としてJAPAN MADE編集部が作成しています
地元の味を通じて日々の暮らしを知る
今回は波佐見町のモノづくり体感ツアーのトライアルに、カナダとスペインから来日中のお二人にモニターとして参加してもらった。まず二人が向かったのは、陶郷 中尾山。かつての製陶所を活かしてつくられた「文化の陶 四季舎」。ここで波佐見の食材を活かした特別なランチ、波佐見御膳を味わってもらった。柚子胡椒が隠し味の「だご汁」や「はさみ寿司」というこの地域ならではの料理を堪能できる。季節感を大切に、飾り付けられた料理は、目でも舌でも楽しめる。
また波佐見御膳以外にも焼き立てのピザやカレー・うどん等が提供されており、地元の方々が丁寧に、各食材の特徴を紹介してくれた。
食後は中尾山を散策しながら工房に向かった。このエリアでは波佐見焼が所々に散りばめられ、道路にも磁器を焼くときに下に引く「ハマ」という敷物を再利用して、敷き詰められており、モノづくりの町であることを体感しながら次の目的地に向かった。
人の手によるモノづくりに触れ、奥深さを知る
モノづくりを体験する前に、まずは窯元の仕事を知るために一真陶苑に立ち寄った。 一真陶苑は、70年代には一度窯を閉じた歴史がある。以前は生地作りを行っていたが、現在では、カンナで一つ一つ手彫りでつくられる白磁手彫り”一真彫り”による器作りを行っている。透けるような美しい白さが特徴的だ。工房では、カンナ削りが行われる様子や、窯主の眞崎善太氏の波佐見焼に関する興味深い話を伺える。
次に我々が訪れたのは藤田鋳込み。ここでは型屋がつくった石膏型に液状の生地を流し込む鋳込みという製法で、生地を制作している。型は通常、数百回利用していると、次第に内部に溜まった生地が厚くなり、使えなくなってしまう。藤田鋳込みでは、使わなくなった型を再利用し、型の内部に好きな模様を掘って、自分だけのオリジナルな波佐見焼づくり体験を提供しているのだ。
今回はティーポットづくりに挑戦してみたが、二人とも一様に「難しい!」と思わず声に出す一場面も。しかし最初はバラバラだったパーツが、徐々に組み合わさって完成していくプロセスを体感し「とてもクリエイティブだった」と興奮気味に話してくれた。
通常の体験プランは、生地を流し込んでから乾燥させ、各パーツをつなぎ合わせていくため、3時間程度のコースとなる。乾燥させている間に中尾山を散策し、最終工程を行い、職人が補修した完成品が手元に届くようになっている。(海外への発送方法などは現在検討中)
くつろぎながら、旅を振り返る
最後は藍染窯でつくられた波佐見焼が購入できるショップとカフェが併設された「No.1210」へ。完成された波佐見焼を手にとって眺めたり、コーヒーブレイクを取りつつ、今回の旅の感想を伺った。
二人とも今回のモニターに参加するまで、波佐見町や波佐見焼のことは全く知らなかった。実際に訪れてみて、都会からすぐに、このような緑あふれる閑静で穏やかな町並みが広がっていることに、まず驚いたそうだ。日本のやきものづくりをドキュメンタリーで観たことがあり、関心を持っていた人もいたが、もうひとりはこれまで、やきものづくりに興味がなかったという。
しかし「器を手にとるだけでは知ることのできなかった、完成するまでのプロセスを見て体感したことで、モノづくりの奥深さを知ることができ、その楽しさを友人にも共有したいと思った」と話してくれた。
「次は友達や私の親と来てみたい。きっと気に入ってくれると思う」
笑顔で伝えてくれた、その一言が、これから波佐見を訪れる人達からも聞けることを願っている。
長崎県のほぼ中央、東彼杵郡北部の内陸部に位置し、長崎県内で海に面していない唯一の町。400年の伝統をもつ全国屈指の「やきものの町」として栄えてきた。日本国内の一般家庭で使われている日用食器の約13%は波佐見町で生産されたものと言われている。町内には陶磁器に関する約400の事業所があり、町内の約2,000人が窯業関係の仕事にたずさわっている。
https://ps-q.jp/tourism/hasami-town/